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晴生さんによる、紹介です!

2022/ 01/ 31
                 
      都市の1句 (60)      中島晴生

   山男山より高く逝きし秋      甲光あや(「都市」2021年12月号より)

                 空


 この句はさらりと詠われていますが、深刻なエピソードを
含んでいる句ように思います。山男は病で亡くなった場合も
あると思いますが、私は山の遭難事故で亡くなった山男の
追悼句として詠みました。
 
 私も登山の途中遭難事故に遭遇したことがありますが、
それは悲嘆の底に打ちのめされる悲愴感がありました。
この句にはそれが感じられない。たぶん事故から日が経ってからの
作だと思います。

 秋の山を見て追憶としてこみあげてくるものを句にしたのか、
声に出して詠むと深刻さよりむしろ清々しささえ感じる句に
なっています。山男の魂が天国から作者に語り掛け作者に
山男の姿や所作が蘇り魂と心が響き合っている気さえします。

                                    やま2


 また、句の根底に青春の愛しい優しさが感じられます。
深読みだろうか!
「山より高く逝きし秋」という措辞が爽やかな響きを持っている
所為かもしれません。また下五を「秋」で止めたのも句が締まって
リズムも良く追悼の句としては佳句になったと思います。

         山

 人の死という重いテーマを取り上げながらもエピソードを
清々しく詠い上げた作者の力量は大したものだと思いました。
私の心に残る句になりました。
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