fc2ブログ

Article

        

関山さんによる、主宰の俳句の(都市4月号)鑑賞です!

2022/ 05/ 01
                 
         「都市」令和四年四月 中西夕紀子句鑑賞         関山恵一
  
                                                             橋



      雛市の裏へまはれば屋形船
 
 浅草仲見世を抜けて大川に出ると遊覧船の桟橋がある。
お台場の海浜公園と浅草を結ぶ観光船である。花火大会や初日の出に合わせてのクルーズがある。
雛市は三月三日の雛祭りの前に雛を売る店が出る。賑わいの雛市を避けて裏通りに行くと、
折しも観光船が停泊している。動の「雛市」と静の「観光船」の対照が見事である。


      春一番掴まり立ちの卒寿翁
 
 最近の日本人の寿命が伸び、元気なお年寄りが増えてきた。
「卒寿」は九十歳、さすがに足腰が弱ってきた翁が人に頼るのでもなく掴まり立ちをして
元気な姿を見せている。還暦は無論のこと、喜寿・傘寿はまだまだ。喜寿にも満たない主宰は
現役のぱりぱり。徘界の中堅としてますますの活躍を願っている。

                                                木


      早春の好きな木に来て抱きつく子

 「好きな木」とは何だろう。自分の誕生記念に親が植えた木と思われる。
自分の成長とともにすっかり大きくなり、自分よりずっと背も高くなった記念樹。
葉が青々と茂って、花も咲いているのかも知れない。幹も太くなって抱きつけるほどになった木に
抱きついている子供。それを見ている親の嬉しそうな顔も見える。


      丹沢のひと嶺高き斑雪

                 雪山


 丹沢山地は古来より信仰の山と言われ、山伏などの修験の場でもあった。
薬師岳(蛭ケ岳)一六百七十メートルをはじめ標高千メートルを超える山が九つある。
春になったとはいえ、富士山も半分ほど雪に覆われている。「ひと嶺高き」というので薬師岳と思われる。
「斑雪」とはまだらに残った雪の意味であるから、春になって解け始めた雪が所々に残っているのであろう。
そんな斑雪の丹沢の山を見て春の到来を喜んでいる作者。


      可愛らしき箱が交番春の山

 「可愛らしき箱」とは何であろう。もしかしたら交番の巡査の子供さんがお父さんのために
バレンタインチョコを贈ったのかも。作者は殺伐とした交番の机に置かれた小さな可愛らしい小箱に
温かみを感じたのであろう。子供?いやガールフレンドかもしれない。そんな楽しい想像が広がってゆく。

                          松ぼっくり
                    


スポンサーサイト



                         
                                  

コメント