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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

6月のAグループの吟行です。

  2023.6「都市」Aグループ吟行 府中郷土の森博物館    樋口冬青

 数日前から梅雨入り前の不安定な天候が続いていた。
台風二号の動きも影響して、前日は大雨注意報やら雷雨警報迄でていた。
天気予報では線状降水帯という言葉も現れた。
日本列島の南から我らの関東地方にじわじわと近づいてくる。
避難指示、河川の氾濫、水没した車、家や車に閉じ込められた人の救出等々、
ニュースでは酷い被害が報道されていた。

関東地方南部にも被害が出るような予報が出るのか。
当番にとって、ニュースはもちろん天気予報から目の放せない日々だった。
電車が動けば、吟行は決行だといわれていた。
はたして当日、電車が運行されるのか。

 前日夕方の天気予報は「雨風のピークは明日未明にあって、
午前中いっぱいは残るであろう」というもの。天気は回復傾向、
中止にする選択肢は消えた。ただし、集合時間を一時間遅らせて、
と万全の対策がとられた。
 

 さて当日6月3日、目的地の「府中郷土の森博物館」前にバスを降りる頃には
雨もあがっていた。邪魔になった長傘は本館玄関の傘置き場に預けて園内を散策する。
参加者15人、時折薄日も射して、昨日迄の心配が噓のように絶好の吟行日和となった。
一時間遅れの開始は大正解だったと安堵した。

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園内は「あじさい祭」の最中、紫陽花も「これから見ごろですよ。」と微笑んでいる様である。
雨上がりを待っていたかのような家族連れもみられ、楽し気に散策している。
「都市」の参加者(本日は先生以下15名)も真剣に且つ楽しまれたようだ。

以下、中西主宰選の特選5句

           薬瓶のブルーコバルト梅雨兆す        北杜青

青さんは復元建物群にある明治21年創建の薬舗で青い小瓶をみつけた。
青色は劇薬の瓶だというが、季語がなにやら意味深だ、と感じるのは
冬青の深読みの所為か。重厚な蔵造りの、薄暗い薬屋の中で遠い昔に想いを馳せる。

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 紫陽花や遠く聞こゆる南武線         打木歩人
 
歩人さんはつくば市から、東京を跨いで参加された。
多摩川沿いを南北に走る南武線。作者が分かってみると、
一句に仕上げた気持ちが分かるような気がした。
電車の音が微かに聞こえた。雨あがりだからこそ聞こえるものもある。
雨の音に消されてしまわなくてよかった、と作者を思いやった。紫陽花が効果的だ。

     花さびた磐のかぎりを水奔る          桜木七海

    梅



     雨に落ち日にかがやける実梅かな       星野佐紀

     青き空見えはじめきて風涼し           樋口冬青

雨上がりの園内を堪能して、三人がそれぞれの感慨を句にした。
七海さんは、小流れの水の速さに、佐紀さんは地面に転がる梅の実に
、冬青は雲間に見える空に。
                                 空

 特選句に限らず当日の句稿を読み返すと、少し湿り気を帯びた空気の中で得た、
ささやかな心の動きがいとおしい。自分の見落としてしまった景色を、
誰それさんの得た小さな感動を、もう一度追体験してみたいと思う。

 前夜、集合時間変更の電話連絡の際を始め句稿コピーなど、
ちひろさんとあやさんの応援を得て大いに助けられた。お二人に深く御礼申し上げます。
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