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日本中を地震、津波,原発による 悲しみと不安が!被災した方々の心に寄り添った心情を梢 さんが語ってくださいました。
2011/ 04/ 10 2011年4月 さくら
三森 梢
今年の桜は、ひっそりと咲き始めた。
それは、悲しみの中に居る人々を
慮るかのようでもあり不安に揺れる私達の心に
寄り添う様な静かな開花であった。

以前住んでいた団地には
桜に囲まれた公園があった。
或る年、花の季節に野点を行い
敬老会の方々をお招きしたいと
私のお茶の先生が申し出た。
赤い傘と黒漆の立礼卓、そして集会所の
パイプ椅子という野点席である。
お年寄や子供を膝に乗せた若夫婦が
神妙な面持ちで点前を見詰めている。
が、セーラー服の中学生が
お茶碗をお持ちすると
皆さん笑顔になって下さった。
そして「苦くないから、お替りちょうだい」
と言う小学生、「久し振りの抹茶に
母を思い出しました」という男性など
嬉しい出会いが積み重なっていった。
満開の年、まだ蕾の年、風に乗った花びらが
茶碗に入ってしまう様な花吹雪の年と
桜は毎年異なる表情を見せてくれたが
ボンベで沸かした熱湯で茶碗を洗い
腱鞘炎になりそう!と言いながらも
300人分のお菓子が無くなるまで
茶筅を振り続ける裏方の仕事は
20年以上も同じ様に続いてきた。
が、それも今年は取り止めとなり
あの小さな公園は、静かな花の季節を
迎えた事であろう。

三森 梢
今年の桜は、ひっそりと咲き始めた。
それは、悲しみの中に居る人々を
慮るかのようでもあり不安に揺れる私達の心に
寄り添う様な静かな開花であった。

以前住んでいた団地には
桜に囲まれた公園があった。
或る年、花の季節に野点を行い
敬老会の方々をお招きしたいと
私のお茶の先生が申し出た。
赤い傘と黒漆の立礼卓、そして集会所の
パイプ椅子という野点席である。
お年寄や子供を膝に乗せた若夫婦が
神妙な面持ちで点前を見詰めている。
が、セーラー服の中学生が
お茶碗をお持ちすると
皆さん笑顔になって下さった。
そして「苦くないから、お替りちょうだい」
と言う小学生、「久し振りの抹茶に
母を思い出しました」という男性など
嬉しい出会いが積み重なっていった。
満開の年、まだ蕾の年、風に乗った花びらが
茶碗に入ってしまう様な花吹雪の年と
桜は毎年異なる表情を見せてくれたが
ボンベで沸かした熱湯で茶碗を洗い
腱鞘炎になりそう!と言いながらも
300人分のお菓子が無くなるまで
茶筅を振り続ける裏方の仕事は
20年以上も同じ様に続いてきた。
が、それも今年は取り止めとなり
あの小さな公園は、静かな花の季節を
迎えた事であろう。

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