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俳句は、絵の題名をつけるために始めたというS氏。S氏の絵を見た,ちひろさんの報告です。

2012/ 10/ 12
                 
      梅雨晴れの日

                 鈴木 ちひろ



七月の初め 私はある絵画展に行った。
句友であるS氏の油絵を見るためである。
S氏とは俳句講座で知り合った。
八十才を過ぎて俳句を始めた温厚で素敵な紳士である。

氏の絵を見るのは二度目である。
この絵のタイトルは「初夏の風」。
大きなキャンバス一面に緑の草原をさわやかな
風が吹き抜けている、 緑一色の心象画であった。
私はその絵に,氏の若々しい精神を見て感動を覚えた。

その絵を詠んだ句が初めて先生に特選を頂いた事もあり、
今年も楽しみにしていた。

七月の梅雨晴れの日、新百合丘でS氏、春流さん、悠さん、
たまごさん、私の五人で集合、六本木の新国立美術館へ。

打ち合わせ通り最上階の眺めのいいレストランへ直行。
そこはいつも行列ができる人気店である。
おしゃれで美味しいランチを頂いてからいよいよ絵画展へ。

   
         レストラン


作品を見ては各々好き勝手な感想を言いながら
ゆっくり会場を回った。
お目当てのS氏の作品は紫がかった藍色だった。
タイトルは「旅立ち」。

夜明けが迫った山の斜面、下の方には黒々とした木々の
連なりが見える。キャンバスの隅の方に、白鷺のような
白い鳥が一羽飛び立とうとする姿が小さく描かれていた。

dawn purpleの斜面から、かぼそい羽で
彼方の薄明の空を目指し飛び立とうとする白い鳥。
そこに私はS氏の新たな決意を、或いは大切な方の姿を
見る思いがした。

          
    天使


会場を出てからまたロビーでおしゃべり。
それぞれに個性的で魅力あふれる句友達。
私の知り得ない世界や経験を教えてもらい興味が尽きない。

こんな楽しいひと時を持つ事ができるのも、
俳句を通して得難い句友を持てたからである。
「また来年も」と約束をして私たちは会場を後にした。                     
                               
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