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俳句でおしゃべり-都市ー

〜「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。〜
ざぼん句会で実践している、LINE句会の紹介です。 2020.04.03
久しぶりに良さんのショートショートです。 2020.03.09
暖冬の2月の吟行です!! 2020.02.13
イベント部より 2020.01.27
今年の新年会は、早々と5日に開催されました。 2020.01.26

新年おめでとうございます!!              春野同人の関山さんによる主宰の俳句の鑑賞です。

       中西夕紀作品「都市」八月号より 
                        関山恵一(春野同人)

   
        秋江の船を消したる煙かな
 
「秋江」をどのように解釈したら良いか迷いましたが、そのまま秋の湾と思いました。
「煙」も霧と解釈しました。晴れわたった秋の一湾をゆく白い船を眺めて
ロマンに浸っていた作者、出始めた秋特有の霧に白い船もあっという間に消えてしまった。
広がる夢を一瞬で奪われた作者の気持ちが表れている。
 
                            煙


        とんぼうに指あそばせて自閉の子 

自閉症でいつも一人で時を過ごしている子、今日も独り川邉に佇み、
水を眺めているその子の指に蜻蛉が止まった。
思わず嬉しくなって蜻蛉の止まった指をくるくると回すと
蜻蛉はパッと離れてゆくが、またその指目指して飛んでくる。
蜻蛉が遊んでいるのではなく、指を遊ばせているとしたところが秀逸。

        湯に浸かるごとくにしゃがみ稲穂波 

一面に良く育った稲穂。その田に入って行く作者、
実った稲の香りにたけなわの秋を感じる。
わずかな風で波打つ稲の中にしゃがみ込むと、
あたかもお湯に浸かるように感じる。
稲の香りに包まれて豊かな気持ちの作者が見えてくる。

        石叩牛の背骨を歩きをる 

黄鶺鴒のように派手でなく、どこにでもいる白と黒の白セキレイ、
磧の石をちょんちょんと器用に飛んでゆく姿が何とも愛らしい。
その鶺鴒が牛の背に乗ってちょんちょんんと跳んでいる。
牛の背中に何か食べ物でもあるのか、茶色の牛の背と
白セキレイの取り合わせが面白い。

                 ushi.jpg


        走り根に座れば秋の蝶ふたつ 

森を散策している作者、太い走り根に座って一息つき、
目を閉じて秋の声を聴いている。鳥の声、虫の声、風の音・・。
ふっと目を開けると二匹の蝶が目の前を通り過ぎてゆく。
心なしかゆっくり、弱弱しく飛ぶ蝶に深まりゆく秋の中の自分を
重ねているのかもしれない。まだまだ頑張らねば。

正月前に相模の一宮、寒川神社に吟行に行きました。

吟行地・寒川神社とその周辺    石黒直子 

朝、冬の雨。みな着ぶくれて宮山駅へ元気に集まった。
近くを流れる目(め)久(く)尻(じり)川(かわ)を渡り今日の吟行地、
寒川神社へ向かった。
相模国一の宮、寒川神社は約一六〇〇年の歴史を持つ由緒正しい神社である。
太鼓橋から境内に入り、ゆっくりと散策しながら写生を、思いを、句にしている。

                      hashi.jpg

しぐれの中の社はいつもより重々しく威厳を感じた。
神殿に明かりが灯りお祓いの太鼓が時折響く。
七五三の親子連れもいて、晴れ着の子の長靴がかわいい。
神木に雨が光っている。
寒禽の声が聞こえる。いつしか雨は諸々の音を消し辺りはしずかになった。

神社に参拝し一行は長い参道を歩く。木立へ続く道は反対側が
農家や園芸店、菜畑、冬田が広がっていた。
近くには水道記念館があり見学に行く人もいた。また「わいわい市場」という
産地直売店があり、お弁当を買ったり焼き芋をほお張ったり
お花に見入ったり楽しい。周囲を眺めると稲を刈ったあとや特産の梨畑が見え、
その先に弥生時代の古墳がある。

中央公園に着くころには雨も上がっていた。隣は句会場の町民センターがある。
ロビーで昼食、会場へ。一人六句、二十六名いつもながらの楽しい句会だった。
 
今回の吟行地寒川神社は季節ごとの行事が大切に行われている。
初詣、節分祭、夏越の大祓、浜降祭、神事薪能、神事流鏑馬、等々…。
一人で出かけても、また数人で吟行しても魅力的なところである。
寒川神社へお参りすると、何かしら神さまに守られている感じがする。      

                                      お賽銭


*  麦の芽や身近におはすさがむ神   石黒直子

*  寒菊へ雨そそぎけり作業小屋    石黒直子
        

今回も,ざぼん句会のメンバーの、句を紹介します!!


           都市の一句(40)       田中 聖羅

      蟇おはす日本大通りの夜更け    山中 あるく


山中あるくさんは、「歩み句会」を経て、都市の会員になられ、
既にいろいろな句会に顔を出されていらっしゃるが、
「歩み句会」への欠席投句も続けられている。
めったにお目にかかることはないが、夏のある日、電話をいただいた。

俳句の話ではない。あるくさんはある写真家の
作品の現像現場の助手をされたのだと言う。
現像液から浮かび上がる映像、それを取り上げる
大きな作業、その手ごたえの実感を興奮気味に話された。
その方々の展が開かれているという。

次の日、その展を拝見しようとおもい、横浜の
みなとみらい線の新高島駅を目指し電車に乗った。
あるくさんに一報すると感激してくださり会場で
会うこととなった。

                       カフェ


新高島駅の地下に各美術家のアトリエのような展が
開かれていた。長年,画布に向かっていた私には
慣れ親しんだ光景であった。
あるくさんが助手をなさった写真家は、既に新進として
活躍されている魅力ある女性だった。そして、あるくさんと私は、
俳句ではない空間で一緒の時間を過ごしたのである。

掲句は、次の「歩み句会」にさっそく出されていた。
きっと展覧会の打ち上げで帰りが夜更けになったときの
一句だろうと直感した。
その夜更けは、何か果たした後の充足感に満ちていただろう。
日本大通りは、横浜関内の日本大通り公園である。
風通しのよい広々とした通りであり公園でもある。
そこに一匹の蟇を捉えたそのとき、あるくさんは、
まぎれもなく俳人として蟇に敬意を表した一句を
仕立てたのだ。諧謔性ありの評もあったが、「蟇おはす」には、
なにか素直で大らかな、あるくさんの味わいがある。

                   蝦蟇


「都市」10月号の「趣味燦燦」にあるくさんの
「ゆるゆる鑑賞・美術の場合」の文があり、美術への傾倒が
長いことが読みとれる。
あるくさんの新鮮な感覚は、いろいろな場での実践や
感動から生まれるものなのだろう。
その感性を表現に繋げてゆく・・・その道を、
あるくさんはもう歩み始めている。


   

今年の1泊吟行は、災害後の南房総です。

          館山一泊吟行記(一日目)       秋澤夏斗 

今年の一泊吟行は奇しくも台風15号の風害に見舞われた館山周辺を
訪ねることとなった。少し緊張した面持ちで、会員23名を乗せたバスが
8時に町田を出発。
朝霧に烟るアクアラインを抜けていよいよ千葉に入る。
車窓から台風の爪痕を見て回ることになる。
               
                           倒木


青いビニールシートで覆われた瓦屋根、全壊した茅葺屋根、
壊れて放置されたままのビニールハウス、倒木で荒れ果てた杉林などが散見される。
一日も早い復興を祈るばかりである。一方、太陽電池パネルなどは損傷が少なかったのか
正常に機能しているようにも見えた。
 
10時過ぎにバスは大山千枚田に到着。
収穫をすでに終えた穭田が広がっていた。
美しい曲線を描く畦には野紺菊が可憐な花をつけている。田の端には熟した柿が
鈴なりの柿の木が立っていた。千枚田も大きな被害に遭われたのであろうが、
自然の回復力には眼を見張るものがある。

           千枚田

 
思い思いに吟行して再びバスに乗り海辺に向う。
美味しい海鮮料理の昼食を済ませ、太平洋に浮かぶ周囲
4キロメートルの仁右衛門島を訪ねる。島へは2班に
分かれて二人の船頭の操る手漕ぎの木舟で渡る。
渡航距離200mの短い船旅だ。

                                        仁右衛門


島には立派な屋敷が一軒あり、句碑が沢山建っていた。
島の裏に回ると稲荷大明神を祀った祠が岩洞の中にあった。
鳥の鳴き声も何種類か聞くことが出来、石蕗の花、
磯菊が咲いていた。花蔓草という珍しい外来種も見られた。
磯の岩は砂岩で形成され、打ち寄せる波に大きく削られた
奇岩が幾つも見られた。
 

島を離れて宿泊地の館山のホテル夕日海岸昇鶴を目指す。
夕食前に、東京湾に沈む美しい夕日を背景に五句出しの
句会を行う。主宰選の特選句は以下の五句であった。
  
秋の蝶もつれて風の千枚田      岳童
  
秋爽や鳶の声降る島屋敷       梢

肉厚の葉のつややかに秋の蝶    梢
  
感触の手になつかしき蝗かな     遊美
  
海老網を扇に広げ秋の浜       有也

句会の後楽しい夕食を終えて外に出ると、東の空に三日月が
美しい姿を見せていた。

2日目は災害のため、予定が変わりましたが、、、、

       都市一泊吟行(二日目)         森有也
 
 

 吟行二日目。目の前の海岸が白々と明けてくると、
停泊の貨物船や四本マストの練習船などが水平線に次々と
浮かび上がって来た。5時半ともなると、7,8人だろうか
仲間の姿が突堤の先に認められる。

                岩だな



一方、ある人は朝風呂に、ある人はメーキャップに余念なく、
ある人は寝乱れた布団に惰眠を貪り、またある人は広い研修用畳部屋の
片隅で、うんうん唸りながら俳句の推敲。一堂に会して朝食の間も
おしゃべりしつつ、頭の中は今日の出句を推敲してはち切れそう。
 
午前9時より句会。結婚式場にも使われている大会議室は
豪華なシャンデリアの列。しかし荘厳な部屋の暗さが老人の眼には辛い。
集めた一人6句の出句を各自5句選句・披講してコメントを述べる。
最後に主宰の選。選ばれた作者は晴れ晴れと名乗りを挙げる。
 
 主宰句
               鷹飛んで水平線を低くせり           夕紀
 
 特選句
               磯波のぶつかり合うて鳥渡る            梢

               海霧や山の物など打ち寄せて            冬青

               穭田に渡りの途次か逸れ鳥            岳童

               秋風の生きよとばかり撫でくれし         恵夢

               山に翳現れて穭の輝けり             夏斗
 
                       芒芒


 主宰より

(1)季語の本意をよく理解して、句の内容と離して作句すること
(2)(俳句に時間を詠むことの難しさ、それを十分勘案して作句すること
(3)吟行の句は、参加していない人に理解されてこそ一句として
成り立つなどの話があった。
 
昼食は一気に緊張がほぐれて笑いこぼしつつ、カレーライスの汁飛ばしつつ、
ごはんは半分などと言いつつお替わりをする人も。
そのあとは、膨れた腹を揺すりつつ旧海軍史跡、赤山地下濠の見学。
黄色ヘルメットを山高帽のごとく被り、水滴落ちる暗い地下壕を回る。
今更ながら、一刻も長居したくない地下壕の陰惨・陰鬱さに太平洋戦争の悲惨を思う。
 
明るい秋天と沖合遥かに光満ちた夕日桟橋、日本最長の観光桟橋を
延々歩きまた帰って来る潮風の中。道の駅では、土地の野菜・果物・
魚介など数多。惣菜を見れば主婦の本能たちまち沸き起こり、
俳人の心かなぐり捨て、柿だ芋だ野菜だピーナッツだと買い集め
帰りのバスへ。天気にも恵まれ、綿密な計画通りにいやそれ以上に
快適に早く帰宅できた。
計画から下見、当日のお世話ときめ細やかにお世話くださった
「イベント部」の皆様に心から感謝申し上げます。(終わり)